視界の隅に飛行物体を捉えた瞬間、ほとんど無意識・反射的に手が出た。
モーションに入ってから小さなハチらしきシルエットを認識するが時既に遅し。
恐る恐る手を見るとそれはやはり蚊。
小さめのハチに見間違うほど大量の血を吸って丸々と膨れた蚊。
てのひらは血塗れ。
いつの間にそんな吸われたんだと思いつつ念入りに手を洗う。
ところが待てど暮らせどどこも痒くならない。
刺されたのはおれではないようだ。
オフィスにはおれしかいない。
佐川のあんちゃんが外から連れてきたのだろうか。
今頃何処かで誰かが強烈に痒がっているのだろうか。